(昭和35年10月17日)

生命保険事業における基本的理念は、共存共栄、相互扶助の精神である。住友生命保険相互会社は、創立以来かかる奉仕の精神に基づき生命保険の普及発展に努力してきたのであるが、近年は業績とみに上昇し企業としての社会的責任も一段と重みを加えてきた。

他方、資本主義の高度化は必然的に低所得者層の増大を伴い、特に戦後我国では社会的経済的諸事情の変化等によりこの現象は著しく、社会福祉事業の重要性が強く叫ばれている所以である。

生命保険会社は、優れて公共性社会性を帯びている。それ故、低所得者層を対象とした社会福祉事業を推進し、これらの者が健康にして文化的な社会生活を営み得るよう援護することは、生命保険会社に与えられた大きな課題である。

ここに、財団法人住友生命社会福祉事業団を設立して、社会公共の福祉増進の一翼たらしめんとするものである。

当事業団は、社会福祉の基礎となる医療社会事業面の開拓、啓発、社会福祉に関する一般的な研究会、講演会等の開催、災害者救護事業、育英事業等をその事業内容とするが、これが事業の経営にあたっては堅実と進取の精神を尊び、もって将来の発展を期するものである。